dgwingtong's blog

世の中について書きます

⑵無知とその変形にもとづく苦

「仏教入門」三枝充悳 著からの引用
初期仏教
③苦
⑵無知とその変形にもとづく苦
"一般に知と称されるはたらきの内実は、対象に関する知なのであって、対象すなわち外に向けられたその知は、ときに莫大なエネルギーや時間などを要しつつも、その外なる対象を明らかにして、その知に収める。この成果と同時に、知が増せば増すほど、却って無知の個所が判明し、それによりさらに知は活気づいて、知の対象を増大させ、知は外に向かって、どこまでも進行しようとする。それにもかかわらず、その知の外なる対象は、実はすべてその知みずからが投影した外部の影なのであり、一種の映像にほかならない。少なくても五蘊説の示すとおり、対象(色)はかならず表象(想、イメージ)などを通過して認識(識)され、知はその諸認識にもとづく。
    そのうえ、それをおこなっている知そのもの、もしくは知の内面に関しては、いかなる知もどうしても知り得ず、まったくの無知としかいいようがない。"