dgwingtong's blog

世の中について書きます

核の危機にまみえる祖先たちを思い出す

深呼吸して、心をひらいてください
そして、遠い昔の
想像するのも難しいような時代を思い出します
この地球で毒の火がつくられたその時代までもどるのは
私たちにはたいへんなことです

二十二世紀に生きる私たちは危険に慣れきっています
けれども、当時
二十世紀なかばの人びとはとても無知でした
危なっかしいほど無知だったのです

古い物語によれば
それは戦争という緊急事態に端を発したといいます
せっぱつまった祖先たちは
新しい、もっと大がかりな殺戮の方法を探していました

そうして、彼らは原子核をこじあけてしまったのです
たゆみない努力と鋭い洞察と
すぐれた頭脳を駆使して
彼らは最初の核爆弾をつくり、爆発させました

しかも、なんとこの計画はトリニティ
つまり「神の三位一体」と名づけられたのです
場所はアラモ・ゴルドの砂漠でした

さらに伝えられる物語によれば
トルー・マン、つまり「真実の男」という名の大統領が
ポツ・ダムと呼ばれる地で電報を受け取ります
「赤ちゃん無事誕生!」とーー

その子こそ、毒の火でした
そしてまさにその年、その月に
毒の火ははじめて兵器として使われたのです
ある美しい国の、二つの美しい街を標的にしてーー
その名前を私たちは知っています
心の中でそれを唱えてみましょう
けっして忘れえぬ名前
ヒ・ロ・シ・マ、ナ・ガ・サ・キ
二十五万人の人びとが一瞬にして焼き殺され
それ以上の数の人びとがゆっくりと病に倒れてゆきました
それが毒の効き方なのです
ゆっくりと、人知れずーー

物語はつづきます
その後、当時の祖先たちは
信じがたいことに、毒の火を発電に利用しました
太陽や
風や
バイオマスと力を合わせるのが
どんなに楽なことかを、私たちは知っています
ところが、彼らは力を毒の火から取り
水を沸騰させて蒸気にするのに使ったというのです

そのころは、驕り高ぶった人びとが力をふるっていました
それは暗黒の時代、核の危機の時代でした
そして、病のきざしが広がります
毒の火がどんどん普及していったからです

ガンが蔓延し
ウィルス病
免疫不全
奇形
死産
不妊症が広がりました

今ではこれは周知の事実で
その原因もわかっています
しかし、祖先たちにとって
こうした魂や肉体の病気がどこからやってくるのかは
謎だったのです

ある人びとは
毒の火や
大量の核廃棄物との関係に気づき
それらをなくそうとしました

各国政府は毒の火を埋めようとしました
カールス・バッドやユッカ・マウンテンと呼ばれる場所がありました
そこに地下半マイルにも達する深い穴を掘って
毒の火を埋めようとしたのです
まるで地球が生きものでないかのようにーー

政府に反対した人びとも
「うちの庭でなければ」と主張しました
痛みと絶望があまりにも大きかったため
彼らはそれを見えないところへやって
忘れてしまうことを望んだのです

いまこうした物語が残っているのは
その暗黒時代に
祖先たちが集まって話し合いをはじめ
各地でグループを結成したからです

彼らは心を深く見つめて
こう考えました
「私たちは毒の火を見守ることができる
怖れを克服してそれを監視し、注意をそらさないでいることができる
そうしてはじめて、未来の存在たちを守れるのだ」とーー

彼らは私たちのことを考えてくれたのです!

いまでこそ当然のことですが
当時は新しい発想でした

彼らにそうさせたのは何だったのでしょう?
二十世紀も終わりに近いあの時代に
彼らがそんな考えを思いつき
さらにそれを実行に移すヒントは
いったいどこからきたのでしょうか?


第14章  <深い時間>の瞑想
「世界は恋人  世界はわたし」
ジョアンナ・メイシー